疲労物質=乳酸はウソ?疲れやすい原因とは

「運動をすると乳酸が溜まるから疲れる」というのは、もう古い!乳酸そのものが疲労物質でないとする研究が明らかになってきているのです。

今回はその理由と、運動を含める疲れやすい5つの原因と対策を和食ライフスタイリスト代表・管理栄養士がご紹介していきます。

疲れの原因は疲労物質の乳酸、と言う話は嘘なのですか?

疲れの原因は疲労物質の乳酸という話は嘘、とまでは言えませんが正確ではありません。その理由を解説していきますね。

まず、全身の筋肉は、内部に蓄えていたグリコーゲンを分解してエネルギーを得ています。そして、筋肉内のグリコーゲンを分解する過程で、乳酸が発生し、強い運動後にたまるのです。

そういった理由から、以前は疲労物質と呼ばれる場合がありました。実際に乳酸には筋肉の動きを阻害する作用があると考えられています。

しかし乳酸だけで疲れがたまるわけではありません。乳酸ができる時には水素イオンが発生し、筋肉内のpHが酸性に傾きます。

最近ではこの変化も疲労の原因であると考えられるようになりました。また、筋肉内のグリコーゲンが不足しても筋肉の動きは悪くなります。

疲れやすいのは何が原因なのでしょうか?

疲れやすい(倦怠感)原因はたくさんの病気が関わっていると考えられます。自分でも気がつかないうちに、そのような疾患にかかっている場合も少なくありません。

また、複数の病気を同時にわずらっている方も存在します。
代表的なものを挙げると、鉄欠乏性貧血や自律神経失調症、うつ病などです。この3つの疾患に関して詳しくは以下で解説していきますね。

病気以外で疲れやすい原因はありますか?

はい、あります。大きく分類すると以下2つがあり、原因に応じた適切な対処が必要です。それぞれについて、「心技体」を例に説明していきます。

「心技体」はアスリートのベストパフォーマンスとして用いられていて、「技」を競うだけでなく「心」や「体」も「技」と同じくらい重要視しています

一見関係ないように見えて、実は日常生活で取り入れると原因を取り除ける場合もあるのですよ。

肉体的な疲れの原因

肉体的な疲れの原因として、前述した筋肉内のpHが酸性に傾く変化や筋肉内のグリコーゲン欠乏などが考えられます。

アスリートでは「心技体」のうちの「体」に相当し、良質な栄養摂取や十分な休養・睡眠、適切なメンテナンス(ストレッチやアイシング、ケガへの適切なケア)などがあるのです。

運動した後は、しっかりと休みましょう!

精神的な疲れの原因

精神的な疲れの原因とはいわゆるストレスで、人間関係(職場や家族、ご近所など)や経済的な問題、将来への不安、さらには健康問題などがストレス源と考えられます。

アスリートで例えると「心」に該当します。皆さんも「アスリートはプレッシャー(プレッシャーもストレスの一種です)との闘いである」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

皆さんが日頃何にストレスを感じているのかを知って対処できるとよいですね。

どうしたら疲れやすいのを取り除けますか?

これまでに説明したように、疲れの原因は複数考えられます。そして、疲れやすくなる理由は一人ひとり違います。もしかしたら、原因は1つだけではないかもしれません。

自分はどうして疲れやすいのか?その根本的な要因を見つけて変えていく、それが疲れを確実に取り除く方法です。

病気が原因ではないかと感じた場合は、医師にご相談ください。特に健康診断で異常を指摘されたままで放置している方は、健康診断の結果を持参するとよいでしょう。まずはかかりつけ医に受診してください。

要因1:肉体的疲労

糖質や脂質からエネルギーを作り出すためには、ビタミンB群やクエン酸が必須です。

理由は、エネルギーを産生する過程にある”クエン酸回路”に入るまでにビタミンB群が使用され、クエン酸回路でクエン酸が使われるためです。

逆に言うと、ビタミンB群やクエン酸がないと、糖質や脂質からエネルギーが作れないのです。すると、私たちが運動や活動するためのエネルギーが枯渇します。

ビタミンB1は豚肉、B2は魚(さけ、ます)、B6はにんにく、パントテン酸は鶏肉、ビオチンとナイアシンはきのこ、そしてクエン酸はレモンや梅干しに含まれています。これらの食材を意識して摂取していきましょう。

要因2:精神的疲労

皆さんが誰のどういった言葉にストレスを感じるのか、あるいは他人のどのような行動が自分をモヤモヤした気持ちにさせるのかを客観的、そして具体的に探しましょう。

まずストレスの原因を突き止めるのです。そのあとで、できるところから少しずつ対応してください。

運動は精神的な疲労に対して効果があり、心や体をリラックスさせる、つらい気持ちを発散させる、さらには睡眠のリズムを整えてくれると考えられています。激しい運動でなくてもかまいません。エアロビクスダンス、ジョギング、ウォーキング、サイクリングやハイキングなど、強度が比較的軽い運動を何でもよいので、とにかく始めることが大事です!

要因3:鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血の対策としては、毎日の食生活を見直す、あるいはサプリメントを活用するなどして不足している鉄分を補いましょう。

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。牛フィレ肉やマグロなどに含まれるヘム鉄は、ほうれん草などの野菜に含まれる非ヘム鉄よりも効率よく体内に吸収されると考えられています。また非ヘム鉄もビタミンCと合わせることで吸収率がアップします。上手に鉄を体に補給していきましょう!

要因4:自律神経失調症

自律神経失調症対策には、生活習慣の改善とストレスコントロールが大切です。生活習慣改善のためにも、まずは規則正しい食事と睡眠を心がけてください。

わたしたちの身体には体内時計が備わっており、体温やホルモンの分泌などのリズムがおよそ24時間周期になるように調節されています。

食事や睡眠のリズムを一定にすると、自律神経の不調に関わるかもしれない体内時計の乱れを少なくする働きが期待できます。

ストレスをコントロールするために、ストレスを感じた他人の言葉や行動を紙に具体的に書き出してみましょう。ストレスの原因を具体的に割り出すことができます。

要因5:うつ病

うつ病は疲れやすい、疲れがとれないといった体の症状に気をとられやすいです。しかし、”こころ”の症状(なんとなくやる気が出ない、大きな理由もないにもかかわらず悲しくなってしまうなど)にも早めに気づくことができるとよいですね。

”こころ”の症状がある場合や、原因がはっきりしない体の不調がある場合には、かかりつけの先生や心療内科・精神科の医師にご相談ください。

共通して、疲れをとるために必要なことを教えてください。

共通して言えるのは、生活習慣を整えることです。

生活習慣を整えると、疲れにくい体を作る基盤になり、同時に鉄欠乏性貧血、自律神経失調症、うつ病などの病気にも好影響をもたらします。

具体的には運動、睡眠、そして食事を見直す努力が必要です。これら3つすべてが大切で、例えば睡眠不足を運動と食事だけでカバーすることは難しいのです。

なので、皆さんにあったやり方で、ひとつずつ丁寧にそれぞれを見直していきましょう。

疲労物質=乳酸は一昔前の考え方!本当の疲れの原因を知って生活を楽しもう!

疲労物質=乳酸は一昔前の考え方です。

疲れには、さまざまな病気(鉄欠乏性貧血、自律経失調症、うつ病など)や肉体的・精神的な原因が関係しています。

疲れにくくなるためには、原因に応じた適切な対応が欠かせません。鉄やビタミンB群の補充、ストレスコントロール、運動、睡眠などです。

自分の疲れに正しく対処して、毎日の生活をエンジョイしていきましょう!

監修者

和食ライフスタイリスト代表・
管理栄養士

合田 麻梨恵

和食ライフスタイリスト代表・管理栄養士
大学在学中に10ヵ国程世界各国の料理を食べ歩く中”和食の魅力”に目覚める。大学卒業後、大手コンビニエンスストアの商品開発を経て独立。「和食文化継承と予防医学発展」を掲げ、全国の日本が誇る伝統調味料・だしの造り手方を28軒訪問したり、痩身インストラクターや歯科管理栄養士の現場経験などで研究を重ねる。和食文化を継なぎ、健康キレイをサポートする”和食ライフスタイリスト”講師養成、ライター養成、料理教室主宰、健康コンサルティング、監修~記事執筆まで一貫ほか書籍執筆、メディア出演など。

【参考文献】

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