
子どもの偏食や好き嫌いなど食に関するお悩みがある時は、食育を実践してみましょう。子どもの食への意識が高まれば、解決する可能性があります。こちらでは元保育園管理栄養士・栄養教諭が食育とは何か、何が有効的なのか、具体的に何をすれば子どもに伝わるのかをご紹介していきます。
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食育とは?わかりやすく解説
食育基本法によると、子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けるためには「食」が必要だと記載されています。子どもたち自身の体験によって、食に関する知識や選択できる力を身につけて、健康的で安全な食生活を送れるように育てる必要があるとのことです。もっと簡潔に解説すると、子どもの頃から食に触れる、食べる機会を増やして人間性を育成することが「食育」です。
子どもに伝えてみよう!おすすめの食育方法
ある研究では、見て分かる食育で食生活改善ができる可能性が高いと報告されています。
そこで今回は、子どもたちが視覚化できる食育の方法と伝わる伝え方をご紹介します。
1.一緒にご飯を食べる
あるアンケートによると、朝食を一人で食べている割合は小学5年生で15.3%、中学2年生で33.7%といわれています。実際に一人で食べている子どもは、そうでない子どもにおいて疲れやすい、イライラしやすいといった傾向が見られるのです。つまり「大きくなったら大丈夫」ではなく、可能な限り家族で一緒にご飯を食べる習慣がおすすめです。
2.一緒に料理をする
あるアンケートによると小学生では男子で32.3%、女子で51.3%が料理のお手伝いをしているとの結果があります。一方で中学生になると男子で18.8%、女子で38.2%に減少しています。食事は自分の健康に関わってくるので、自立する意味でも一緒に料理を続けるようにサポートしましょう。野菜を洗う、ピーラーでむくなども立派なお手伝いです。
3.クイズを出して、答えは実物を見せる
好奇心旺盛の子どもには、クイズ形式で興味を引き出す方法もあります。例えばご飯を食べている時に、今日の料理で使っている食材は何か問いかけます。子どもが小さければ2択や5択にして選択肢を与えても良いでしょう。
4.朝におにぎりを一緒に作る/おにぎりの具材を決める
朝食の欠食はよく課題に挙げられる項目です。そんな中、ある中学校で朝食の習慣づくりを行う取り組みを行った結果、実際の行動変化には時間がかかるものの、講演会などでの質問が増える、講演会の内容を覚えているといった変化が見られたようです。
具体的な取り組みは給食委員の生徒が中心になって行った「おにぎりレシピの考案」です。おにぎりの具は生徒自身が考えた上で、先生が具体的な作り方や具材選びのポイント、手軽さや栄養などの情報を盛り込み、掲示物や食育通信で発信しました。食育通信は、保護者と一緒に読むように生徒に促したのもポイントでしょう。
これを真似て自宅で行います。子どもが小さい場合は親がおにぎりの形を作って、具材を選ぶ・入れるのは子どもが行う、一人で握れる場合は一緒に握って楽しみながら行う、中学生になったら自分で握ったおにぎりを昼食に食べるなど成長に合わせて行うと良いでしょう。
5.正しい食事マナーを実践する
ある小学校において、小学生に進級して初めての給食当日に食事マナーに関する授業を行った結果、子どもたちの意識や行動が改善したとの発表がありました。食事マナーの完璧さを追求すると難しいものの、将来の食事の際に困らない程度に行うという観点で指導をするのがポイントです。
自宅で一緒に食事をする際に、「いただきます」をいったり、箸の持ち方を教えたりするだけでも正しいマナーは習慣化されます。
食育で大切なのは、子どもでも目で見て分かる伝え方!
食育は小さい頃だけではなく、小学生・中学生になっても続けたい習慣です。特に子どもが小さければ小さいほど、目で見て理解できる伝え方を行うのが良いでしょう。
【参考】
・平成十七年法律第六十三号 食育基本法
※Visualized nutrition education and dietary behavioral change: A systematic review and meta-analysis|2019;59(12):1976-1985.
・文部科学省|食育って何?|
https://www.mext.go.jp/syokuiku/what/index.html
・文部科学省初等中等教育局|つながる食育の推進に向けて|
https://www.mext.go.jp/content/20200803-mxt_kenshoku-100003351_1.pdf

管理栄養士、第一種栄養教諭、和食ライフスタイリスト
太田知香
大学卒業後、保育園に就職し食育活動や献立作成、調理業務に携わる。その後、病院管理栄養士として栄養指導や栄養管理などを経験。結婚出産を機に、成人してからの食事習慣は幼少期の食環境が影響するのではないかと考え、現在は和食ライフスタイリストとして、『おふくろの味が健康食だったら素敵』をモットーに、献立作成や食育活動などを中心に活動を行っている。