「ママ、頑張らなくていいよ」らくらく子育てを伝えたい。

忙しい日々のなかでの子育て。ママたちが頑張り過ぎて疲れてしまっているとしたら、そんなお悩みから解放されるヒントを伝えたい。子どもと過ごす日々をいい時間にするために、子育てサポートの専門家さんにお話をうかがいましたよ。

教えてくれたウェルネスプロ

一般社団法人 乳幼児子育てサポート協会
産前産後トータルケアネットワーク

代表 行本充子(ゆくもとみつこ)さん

教えてくれたウェルネスプロ

ふわっと。編集者

太田尚代

自分が頑張っていることすら気づけないママたちへ。「十分頑張っているよ」

太田:今のママ達を見て、皆さん、頑張っているなって思うと同時に大変そうだなとも感じていて。私は子どもがいないので、ママ達がどんなことで困っているのか何か理解ができたらと、行本さんに教えていただきたいと思ったんです。

行本さんはシングルマザーで、お子さんは現在中学1年生の男の子

行本:まず困っている1番大きな点は、孤独感や社会との断絶感ですね。これはコロナ禍以前から。
赤ちゃんを抱えて「泣いたらどうしよう」「どこに出かけたらいいの?」と不安が山のようにあるのに、誰に聞いたらいいのか、頼ったらいいのか、わからないまま孤独感に陥ってしまう方が多いです。

そして何より問題なのは、自分が頑張っていることに気がつかないこと。

「自分がすごくやっているな」と思えば「ちょっと休憩しよう」と思えるんですけど、「もっと緩めた方がいいですよ」って伝えても「母親だし、大したことない、当たり前!」って感じておられる方がほとんどなんですよね。
まずは「もう十分頑張ってるんだよ」って気づいてもらうアプローチをしていきたいですね。

太田:それは何かのきっかけで気づけるんでしょうか。

行本:例えば、私どものような産後ママの活動では「お子さんが栄養失調や不衛生な状態でないなら、それは誰のおかげ?」って投げかけると、ママは「あ!私だ!意外と私って頑張ってるのかな」って気づいてくださる。
その子なりに元気で成長していれば、それで十分、それが子育ての正解。
「ママが今している命を紡ぐ、育むっていうのは、とてつもないお仕事だよ」とお伝えするようにしています。

心を軽くする魔法は、一歩の勇気!子育て中の親子がいる所へ出かけよう

太田:孤独感と、自分が頑張っていることに気づかないこと。両方大きい問題ですけど、孤独を何かしら解消できるとしたら何がありますか。

行本:ここは一歩、勇気を出して、同じような子育てをしている親子がいる場所に出かけることだとお話ししています。

私自身も息子が生まれた時は、友人知人や親戚が遠く、パートナーも仕事が忙しく孤独感は大きかった。
「虐待するかも…」って思ったこともあるし。わけも分からず、わーって涙が出てきたこともあったし、心が壊れていきました。

乳児の頃の息子さん。寝てくれないだけでなく、斜頭や高熱、急に意識を失うなど、立て続けてにおこる予想外の出来事に、行本さんは不安で眠れない日々が続いたという

でもある日、息子と同じ「2010年の8月生まれの会」という集いがあるのを市の情報で見つけて、出掛けたことが転機になったんです。
実はその前にも子育て広場に行ったんですけど、アウェー感を感じて帰っちゃって。

でも「同じ月齢のママが集まるなら」ってもう一度行ったら、なんとかなったんです。
地域に同じような月齢のお子さんがいる所を探せると、きっと合うところがあるんですよ!絶対!

太田:体験者の行本さんの「絶対!」は強い説得力がありますね。

行本:ママ友ができたこと、それに発達心理の専門家がいてサポートしてくれたのがよかったです。共感し合えるママ友と、専門家に相談できる安心感のおかげで、光が見えて救われましたね。

太田:解決しないけど、話せて、心の拠り所ができたって思うんですね。

行本:ええ。だから今、ママ同士が出会えて、子育ての勉強をした講師を育成して「場」を作っているのは、原体験として大きいです。

乳幼児子育てサポート協会では、子育てに関する有資格の講師が多数在籍。様々な教室やイベントを通じて、子育て中の親子と触れ合う機会を多く設けている

自分に合う場所が見つかったら絶対に心が軽くなる。
大変なのは身をもってわかっていますが、なんとか1歩だけの勇気を出してほしい。
1回で諦めちゃうともったいないって伝えたいです。

産後うつは特別なママじゃない。「普通のママ」だと周りに知ってほしい

太田:産後うつって特別なことと思いがちですけど、行本さんは「どこにでもいらっしゃる普通のママですよ」っておっしゃいますよね。

行本:当協会で大規模な子育ての実態調査として約1000人のママから回答を得ていて、精神疾患のような診断を受けたことがある方は2%弱、つまり九割九分がそういう状態になったことがないママです。

その方々でも「自分が子どもを虐待するのではと感じたことがあるか」の問いに84.5%が「ある」と答えています。私もそうでしたしね。

そして「親として失格なんじゃないか」という落ち込みは93%もあります。

太田:危ないですね、その高い数値。

行本:そう、だから特別な人が産後うつになるというのは思い込みだと周りの方々にも知っていただきたいんです。赤ちゃんを抱っこして目の前を歩いているママ達みんな、何かしらのしんどさを抱えていることが大きなデータとしてありますから。

ラクする=手抜きじゃありません。モノにも人にもどんどん頼っていいの

太田:ママが頑張りすぎず、赤ちゃんといい時間を過ごすために、「こうするといいよ」という具体的な工夫ってありますか。

行本:例えば、離乳食を手作りしようと力まず、市販品を利用していいんですよ。手抜きじゃありませんから。
今はいいレトルト食品も、粉末を溶かして使える優れた素材もあります。大人の食事も一品減らすとか、お惣菜を利用するとか。
毎日お洗濯しなくてもいいように、赤ちゃんが着る服の枚数をちょっと増やす、お掃除ロボットの導入で掃除を省くのもいいかもしれません。
少しでも「ちょっと楽をする意識」を持てるといいですね。

太田:「いい母親像」を周りも押し付けてはいけないなって感じますね。自分も気をつけたいです。

行本:もう1段階できるのであれば、小さい赤ちゃんでもパパやご両親に預けて1人で寝る時間を作る。
特に低月齢だと、「抱っこしなきゃ寝ない」「授乳しなきゃいけないのに」とか、預けて泣かせたら「自分が悪い」「そこまでして預けることない」と思いがちです。でも、そこは勇気を出してねって伝えたい。

太田:自分から赤ちゃんを離すってすごく難しいんですね

行本:私にも心当たりがあって、当時、元夫や義両親が手を差し伸べてくれていたものを、無意識にはねのけたことも多々あると思うんですよ。
いわゆるガルガル期ですね。

太田:ガルガル期! 初めて知りました。

行本:親猫が子猫を守ろうとしてシャー!ってするように、母性本能が全開になって、攻撃的になってしまうんです。出産後はホルモンバランスが崩れているから余計に。
「こんなに怒れるの!?」「怒り出したら止まれない!」そんな初めての自分の人格に戸惑ったり、凹んだり…。
でも、みんなあることだから自分を責めないで。誰でもガルガルしてるから大丈夫、安心してほしいなと思います。

子どもへのスキンシップは親にも好影響。自分のためにもどんどん触れ合って!

太田:赤ちゃんとのコミュニケーションでマッサージやスキンシップがとてもいいって聞きますが、その点をもう少し詳しく知りたいと思っていました。

行本:スキンシップは本当に良くて、科学的にオキシトシンとかセロトニンという抗うつ作用があるホルモンが出るんです。

それは触られている赤ちゃんだけじゃなくて、触っている親側にも出るので、親の精神状態を安定させ、母親の産後乱れたホルモンバランスを整えてくれる効果もあるんですよ。赤ちゃんの素肌を撫でるスキンシップをたくさんするのは、親の精神衛生上もすごく大事なことです

同協会の「ベビーマッサージ教室」の様子より

太田:「赤ちゃんのためにやるべき」っていう「良い母親の義務感」のようなことではないんですね。

行本:うちの協会はベビーマッサージ教室を全国で行っていて、ママ達は最初「赤ちゃんのために」参加してくださるんです。でもやってみると「あれ?私、気持ちが楽になった」「自分がすっきりしてる」っていう感想が本当に多いんですよ。

「やらなきゃ!」と思う必要はなくて、おむつ替えや抱っこの時に赤ちゃんの肌を撫でてあげるとか、頭を撫でるとか、頬をスリスリするとか、そういうことで親子関係も良くなるんです。

太田:全国で教室はどれくらいあるんですか。

行本:今は80箇所くらいです。
そこで赤ちゃんとの触れ合い遊びやマッサージのやり方を一緒にやっています。最後におしゃべりタイムを設けているので、ママ同士で盛り上がることもあれば、講師がお悩みの相談に対応することもありますので、お近くの方はぜひお越しください。

教室の数は全然足りていませんから、まだまだ増やしたいと思っていますし、スキンシップの素晴らしさを知ってもらえたら嬉しいです。

全国の認定講師が開催している「ベビーマッサージ教室」。監修は桜美林大学 リベラルアーツ学群 山口教授

◆乳幼児子育てサポート協会の全国の教室はこちら
https://kodomokosodate.com/course-list

教えてくれたウェルネスプロ

一般社団法人 乳幼児子育てサポート協会
産前産後トータルケアネットワーク

代表 行本充子(ゆくもとみつこ)さん

〈プロフィール〉
2010年出産 シングルマザーとして子育て中
「虐待するかもしれない」と精神的に追い詰められた、超・孤独な子育ての状況を、素敵なママ友・ベビーマッサージ・発達の先生との出会いのおかげで乗り越えた。
その経験を活かし、自分と似たような思いをしているママたちの役に立ちたい!と、自宅の一室でベビーマッサージ教室を開講。2013年「乳幼児子育てサポート協会」を設立。現在に至るまで、延べ10,000組以上の親子さんと関わり、子育ての相談などを受ける。

◆ホームページ
https://kodomokosodate.com/aboutus
◆blog
https://ameblo.jp/baby-repeat
◆Instagram
https://www.instagram.com/yukumoto_mitsuko/
◆Twitter
https://twitter.com/52mitsuko

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