
「さっきご飯食べたのに、また食べたいといってる…。」「物忘れの自覚が無い…。」そろそろ親の介護が必要かも?と思っていた矢先の怪しい行動…。そんな時から始めたい、初めての方でもできる認知症ケアの方法をご紹介します。
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認知症とは
加齢が原因ではなく、脳の病気によって脳の神経細胞に異常が見られる場合に起こる状態が認知症とされています。最も多いアルツハイマー型認知症や、次いで多い血管性認知症、ほかレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などに分類されます。認知症とよく似た症状で病気が原因である場合もあるので、必ず病院で診断を受けましょう。
初めての認知症ケア方法
ここからは初めての方でもできる認知症ケア方法を3つご紹介していきます。
1.ユマニチュード:フランス発信のケア方法
1979年にフランス人が提唱した技法で、現在フランスを中心にヨーロッパ各国、米国、シンガポール・タイ・日本などのアジアの介護施設や医療施設で実践されていてBPSD※の軽減ができていると報告があります。
※BPSD:認知症の症状に見られる行動や心理症状
「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱の内、2つ以上を組み合わせたケアが大事という考え方です。具体的に行動すべき内容を下記に示しています。
見る | 正面から同じ高さでアイコンタクトを行う |
話す | ・ゆっくり、優しく、低い声で話しかける ・コミュニケーションを途切れることなく良い情報を伝え続ける |
触れる | ○心地良い触れ方を行う(例:相手と腕を絡める、肩に手を回すなど) ×不快な触れ方を行う(例:叩く・殴る・掴むなど) |
立つ | 1日合計20分間立つ(連続である必要はない) |
2.環境を整える
軽度から中等度の認知症の人の場合において下記行動が、ADL向上や家族介護者の負担を軽減する効果があるとしてエビデンス高く推奨されています。下記の具体例は、いずれもアルツハイマー型認知症の場合です。
(1)自助具を使用するなど代償戦略を練習する
軽度:メモで記憶機能を代償する、時間はデジタル時計やカレンダーなどで代償する
中等度:言語機能が残っている場合はナビなどを録音して代償する
(2)引き出しにラベルを貼るなど環境戦略を活用する
目で確認できるヒントや道具の工夫を行う
3.レジャー活動を行う
認知症の方がレジャー活動に参加すると、活動性の向上やポジティブ感情の向上が起きて、認知症の行動や心理症状が減少したというエビデンスが高く推奨されています。
実際に対照群と比較して良い結果がでた活動はちぎり絵、園芸、音楽、会話、歌、踊り、パーティーゲーム、絵、コラージュ、ポスター創作などです。また本人だけではなく、介護者の技術や自己効力感向上によって介護負担の軽減にもつながると報告されています。
初めての認知症ケアは不安があるかもしれませんが、愛情を持って接しましょう!
認知症ケアは毎日続きます。そのため、本人だけではなく、介護する家族の方にも負担なく続けられる方法の実践が重要です。またお互い人間なので、愛情を持って気持ちの良いコミュニケーションを行う意識を忘れないようにしましょう。
【認知症相談窓口】
- 公益社団法人認知症の人と家族の会|全国もの忘れ外来一覧
https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2825
- 公益社団法人認知症の人と家族の会|電話相談
電話番号 0120-294-456
受付時間:午前10時~午後3時
(月~金 ※祝日除く)
【参考】
・厚生労働省|認知症施策|
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/
・The effectiveness of multimodal communication care methodology “Humanitude” :
Analysis in the view of informatics, philosophy, and philosophy.|認知症ケア研究誌 6:28-39,2022
・一般社団法人日本作業療法士協会|作業療法ガイドライン認知症|
https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2014/05/guideline_Dementia-1.pdf
・認知症リハビリテーションの現在―ICF に基づいた評価と支援―|
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/59/1/59_59.9/_pdf/-char/ja

一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会代表理事
管理栄養士・和食ライフスタイリスト
合田 麻梨恵
世界10か国旅で和食の魅力に目覚める。大学卒業後、大手コンビニ商品開発者として毎日コンビニ食を食べ心身ボロボロに。食の重要性を再認識し独立。調味料蔵元92軒訪問や痩身教室・歯科院・主宰の和食料理塾で延1000名様超の栄養指導・調理経験で和食の研究を重ね5年経つ。和食ライフで不調を改善し美しくなる”令和の和食TM”を提唱し活動中。