ゴールデンボンバー喜矢武豊さんイチ推し! ラクな身体の動かし方を学べるスポーツ「パルクール」の魅力

2024年のパリ五輪で「お披露目式」が行われ、2028年のロサンゼルス五輪で正式競技への採用を目指しているパルクール。フランスが発祥で、もともとは軍隊のトレーニングからはじまったスポーツです。

ダイナミックに飛んだり、回ったり、高い壁をよじ登ったり、私たちとは無縁のように感じるスポーツですが、「実はそんなことはないんです!」と、声を上げるのは、ゴールデンボンバーのメンバー・喜矢武豊さん。

野球をはじめとした数々のスポーツをこなし、『SASUKE』にも挑戦するなど、身体能力が高いことでも知られる喜矢武さんは、今回、東京都体操協会パルクール委員会広報部長に就任。「面白くて仕方がない!」というパルクールの魅力のほか、小さいころから続けてきたというスポーツへの思いも語っていただきました。

▼プロフィール

喜矢武豊さん

ヴィジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」ギター担当。俳優としても活躍中。1985年3月15日東京都生まれ。シングル『女々しくて』が大ブレイク。楽器を演奏しないエアーバンドとして、2012年にはNHK紅白歌合戦に4年連続『女々しくて』で出場し、話題に。15年、舞台『ふしぎ遊戯』、17年、舞台『犬夜叉』に主演するなど、舞台やドラマでも活躍中。運動神経がよく、小学校から野球をはじめ、中学、高校は野球部に所属。『SASUKE』にこれまで6回挑戦し、身体能力の高さを見せている。22年5月には、東京都体操協会パルクール委員会広報部長に就任し、公式YouTubeチャンネルを開設。

Webサイト  ゴールデンボンバーオフィシャルサイト
YouTube ゴールデンボンバー喜矢武豊の喜矢武canパルクール
Twitter @yutakya_n

基本から順に学ぶので、実はむずかしくない!

「むずかしそう!」という取材スタッフに「そんなことはないんですよ!」と熱く語る喜矢武さん

——『SASUKE』に挑戦するなど、スポーツ万能の喜矢武さんが東京都体操協会パルクール委員会広報部長に就任されたと聞いて驚きました。

喜矢武:いろいろなご縁でそういうことになりました。お話をいただく前からすでにパルクールをはじめていたこともあり、すごく嬉しかったです。パルクールはまだ歴史も浅く、正確な日本の競技人口はわかりませんが、そこまで多くはないと思います。今までに経験したことのないスポーツで、やってみたら本当に面白くて。スポーツとしてはもちろん、身体の使い方を覚えられる健康法としても広めていきたいと思っています。

——そもそも、どのようなことがきっかけでパルクールに興味を持たれたのでしょうか?

喜矢武:インターネットで動画を見て面白そうだなと思ったのが最初です。そのあと、『HiGH&LOW THE MOVIE』という映画で共演した、全米チャンピオンでプロ・パルクールアスリートのZENくんに撮影の合間に技を見せてもらい、「おお!すごい!」と感動して、「やってみたい!」と思いました。ただ、ZENくんと連絡先を交換したものの、なかなかきっかけがなくて、すぐはじめたわけではないんです。たまたま去年、ツアー先のホテルでテレビをつけたらZENくんがパルクールについて語っていて。その話がとても面白かったので、「36歳からパルクールはじめてみようかな」とTweetしたら、ZENくんが「やりましょうよ!」と返信してくれたことで再びつながりました。

パルクールをはじめるきっかけとなったTweet

——『HiGH&LOW THE MOVIE』のZENさんのアクションもすごかったですし、動画などで見る限りでは、パルクールには相当な技術が必要な気がします。

喜矢武:それが、そんなことはないんですよ! 初見の方は、くるくる回ったり高い壁を乗り越えたり、超人的なイメージがあるかもしれませんが、全然違います。パルクールは一つの技をいかに安全に、カッコよく素早くやるかからはじまるんです。壁を登るにしても、低い壁の登り方から順に学んでいって、その延長線上に大技がある。もともとが軍隊のトレーニングなので、いかに速く、いかにラクに障害物を乗り越えるかに特化しているんです。極端に言うと、1cmくらいのわずかな段差を乗り越えるだけですでにパルクールなんです。いかに段差を簡単に乗り越えるかを練習していく。パルクールの本質はそこにあります。

——「わずかな段差を乗り越えるだけですでにパルクール」と言われると、ぐっと身近に感じます。具体的にはどんな練習をするのでしょうか?

喜矢武:僕は、まずはバランス感覚を身につけるために床から20cmくらいの高さにある細い棒を渡る練習からはじめたのですが、いざやってみるとバランスがうまく取れず、なかなか渡れないんです。姿勢や重心の位置、身体の軸がブレなくなるとスイスイ渡れるようになる。簡単にできることから身体の使い方を学んでトレーニングを積んでから、危なそうに見える大技に移行していくので、自分のレベルでできる技だけをやるんです。ビルからビルへ飛ぶような技も、距離や着地点をすべて計算して、「それなら安全」という状況が揃ってようやく飛べます。実際にみなさんが思うよりもハードルが低いということを、僕は声を大にして言いたいです。

東京都体操協会パルクール委員会広報部長としてパルクール専門チャンネル開設!

YouTubeチャンネルではパルクールの技に挑戦。身体能力の高さから次々とこなしていく

——パルクール委員会公認のYouTubeチャンネル「喜矢武豊の喜矢武canパルクール」も、初心者の方に向けたわかりやすい内容ですよね。公開後の反響はいかがですか?

喜矢武:今はどちらかというと僕のファンのみなさんが見てくださっていますが、もっと一般層にも広げていきたいなと。パルクールの魅力をまだ伝えきれてない部分もあるので、さらに頑張りたいです。

——パルクールレッスンの企画では、物を飛び越える「ヴォルト」という技に挑戦されていましたが、「ヴォルト」だけでもたくさんの種類があるんですね。

喜矢武:YouTubeではステップヴォルト、ツーハンドヴォルト、レイジーヴォルト、モンキーヴォルトに挑戦しましたが、もっとたくさんあります。技ができたときの達成感はもちろん、技の種類がたくさんあるので飽きないです。

喜矢武さんがヴォルトに挑戦する企画。基本的な動作は意外に簡単!

——最近では女性も増えているそうですね。

喜矢武:そうなんです。なんなら女性のほうが、楽しく続けられている印象があります。パルクールは楽しくダイエットができますから。基礎からやってみると、段々と自分の身体のことがわかってくるんです。悪い姿勢や間違った使い方を見直して、正しく身体を使うパルクールのトレーニングは、日常にすごく役立ちます。

僕はもともと猫背だったのですが、パルクールをはじめてからは姿勢がよくなりました。姿勢が良くなったことで腰への負担が減ったのか、腰痛も軽くなったんです。自分の身体を知るうえで骨盤の位置を気にしながらの歩き方を意識していたら、歩くのもラクになりました。運動能力も上がっていくので、疲れにくくもなったんですよ。本当にいいことばかりなので、競技としてだけではなく、健康寿命を伸ばすためのトレーニングとしても役立てて欲しいです。

喜矢武さんがパルクールの基本を学ぶ企画。パルクールのことがよくわかる。

パルクールの動きが他のスポーツに役立つ

——喜矢武さんはとても多趣味ですが、パルクール以外はどんなスポーツをやられているのでしょうか?

喜矢武:まずはスノーボード。スノボーの一貫でスケボーもやっていて、ゴルフ、フットサル、ボルダリング。最近はあまりできていませんが、野球は小学生のころからやっています。それから……スキューバダイビング。今度バスケもやる予定で、卓球にも興味があります。

——本当にたくさんやられているんですね!

喜矢武:パルクールでは身体のバランスや姿勢を意識しながら学んでいくので、動きが他のスポーツにも活かせるんです。「これはゴルフで試してみよう」とか、「この動きスノボーに使えるな」と思うことが多いです。

パルクールの選手たちは身体の研究者というか、身体のことを知り尽くしていて、どうやったら高く飛べるか、どうやったら速く走れるかを考えながらトレーニングを重ねて、日々、自分の身体と向き合っています。全体的に動きが猿っぽいので、僕は「進化した類人猿」と呼んでいるんですけど(笑)。動物的な身体の動かし方を知っているということは、身体能力が高いということ。自分のやり方を研究したうえで人に伝えているので、とてもわかりやすくて教えるのも上手いんです。少しアドバイスしてもらうだけで身体の動かし方が変わるので、最初は先生に教えてもらったほうが僕はいいと思います。

——ラクな身体の使い方を知れると聞いて、ものすごくやってみたくなりました。

喜矢武:本当にちょっとしたことに気をつけるだけで変わりますよ。たとえば、1本の棒を渡るときに、腕や上半身でついバランスを取りたくなるのですが、実は腰の動きが大事で、身体の中心部分である腰でバランスを取る。パルクールの理論や哲学は、知れば知るほど面白いんです。

そもそもパルクールは、いかに身体を効率よく動かすかを考えるスポーツなので、いわば歩くだけでパルクールなんです。寝て起きたらもうパルクールがはじまっているというか(笑)。パルクールの選手のみなさんがよく「生活自体がパルクール」と言うのですが、日常の中での動きを研究して突き詰めていくことも、パルクールの面白さのひとつです。

——いずれ挑戦したい技はありますか?

喜矢武:将来的には、バク宙とバク転がまざったような「ゲイナー」という技には挑戦してみたいです。あとは、足を大きく回しながら飛ぶ「バタフライ」の状態でさらに足をひねる「バタフライツイスト」という技がすごくカッコいいので、挑戦したいですね。

とにかく「楽しく」続けられることが一番

——喜矢武さんが健康のために続けている毎日のトレーニングはありますか?

喜矢武:今までは特になかったのですが、パルクールをはじめてからは、ストレッチが大事だということに気づいたので、今はストレッチをやっています。でも、ゴリゴリとやっているわけではなくて、軽いストレッチを習慣づけようとしている……ぐらいです。身体に気持ちいいストレッチを毎日少しでもやる。忙しい方なら、通勤中の電車やデスクワークをしているときに少し肩甲骨を伸ばしてみるとか、簡単なことでも毎日やると、少しずつ身体が柔らかくなっていくんですよね。

パルクールをはじめてから毎日身体が気持ちいいくらいのストレッチを続けている

——たくさんのスポーツを経験してきた喜矢武さんにとって、運動することは人生に欠かせないことですか?

喜矢武:運動していなかったら、家に引きこもりがちになっちゃう。僕はゲームも大好きなので(笑)。そうなると、いずれ身体が動かなくなってきますよね。30代半ばからは、身体に顕著に出てきますから。何もしなければすぐ疲れるし、太りやすくなるし、身体も動かなくなる。運動しているとストレス発散になって、逆に疲れが取れて調子が良くなるんです。やっぱり運動は大事だなと思います。

僕の場合は、「楽しくやること」が一番。毎日走ったり、筋トレをしたりは苦手です。だからこの記事を読んでくださっている、特に同世代のみなさんには、楽しめるスポーツを見つけて欲しいです。ヨガでもボルダリングでも、何でもいいんです。僕はどちらかというと、毎日トレーニングをするようなスポーツよりも、身体の使い方を考えて、身体の力を抜いてラクにするトレーニングが向いていると思います。力を抜くというところでは、最近日本舞踊もはじめたんです。それがまた面白いんですよ。

——そうなんですね! 喜矢武さんは一体、どこへ向かっているんですか(笑)。

喜矢武:たまたま知り合いに日舞の先生がいて、「やってみようかな」と思ってはじめたら、その先生もまた、自分の身体のものすごい研究家だったんです。日本舞踊を舞うというよりは、舞うためにどう身体を動かすかを考えているというか。身体の力を抜くと動作が美しくなるんです。力を抜くスポーツで言えば、水泳も同じです。あ、僕、水泳もやってました(笑)。

——水泳も!(笑)

喜矢武:パルクールも同じで、頑張りすぎずに自然に身体を使うことのほうが大事なんです。人間は実は、身体の力を抜くことがすごく下手らしいんです。デスクワークをしていても肩に力が入ったりするじゃないですか。それが肩こりや首の痛みになっていきますよね。だから日常的に身体の力を抜くトレーニングをすることが健康につながっていくような気がしています。

スポーツで『女々しくて』のキレが良くなった

——今後はどのようなことをやっていきたいですか?

喜矢武:パルクールの広報部長としては、まだまだ狭い世界のパルクールを広めるために尽力します。なかなか「パルクールのYouTubeを見よう!」という気持ちには、普通ならないと思うんですよね。だから興味のない人が何気なく見て、「パルクールって面白いんだ」と思ってもらえるようなコンテンツを作っていきたいとは思っています。パルクールができれば絶対カッコいいですよ! みなさんが思うよりもハードルが低いということを言い続けていきたいです。

——日本舞踊のしなやかな動きは、パフォーマーとしての喜矢武さんに活かせるかもしれませんね。

喜矢武:確かに! 日本舞踊だけじゃなく、水泳とかパルクールとか、いろいろなスポーツをやっていると、『女々しくて』のダンスにキレが増してきました(笑)。あとは最近ツアーがはじまったのですが、ギターを背負ってもあまり重くないんですよ。

僕のように大人になってからも新しいスポーツをはじめることはすごくいい気がしています。若いときよりも身体は衰えているかもしれませんが、脳みそは発達しているはずなので、体を頭で理解できて、より吸収しやすいと思うんです。

パルクールをはじめとしたスポーツを続けることで、『女々しくて』は年々キレが良くなっているとか!?

——フランス発祥のパルクールは、2024年のパリ五輪でお披露目されて、その4年後のロサンゼルス五輪で正式種目への採用を目指しています。YouTubeでは五輪への参加を目指したいとおっしゃっていました。

喜矢武:目指します!(笑)正式種目になってくれるといいんですけど。スケボーのようにストリートでできるスポーツなので、その文化がどんどん盛り上がっているのは嬉しいですよね。パルクールの技自体は派手ですが、かけ離れた世界の競技ではないので、間口をどうにか広げたいとは思っています。一番手っ取り早いのは、やっぱりパルクールのジムに行っていただくこと。一人でもできるスポーツですが、どこかで壁にぶつかると思うので、わからないことやこの先どうすればいいのかという悩みを相談できる先生がいてくれると、的確なアドバイスをもらえて続けていきやすいと思います。

パルクール練習中の真剣な表情の喜矢武さん

——パルクールをやってみたいと思ったら、何か準備は必要ですか?

喜矢武:いらないです。とりあえずジムに行ってみたらいいじゃない。合わなかったら合わなかったでやめればいいだけですから。基礎的な部分から僕はすごく面白くて、はじめてパルクールのジムに行ったときには、ディズニーランドより遥かにテンションが上がる、夢のテーマパークだなと思ったくらい(笑)。それは僕だけかもしれませんが、それぐらい魅力的だったんですよね。女性でもハマっている方がたくさんいますので、ぜひ一度体験してみていただきたいです。

まとめ:パルクールは日常動作をもとにした身近なスポーツ

2028年のロサンゼルス五輪への出場を目指す!?

「寝て起きたらもうパルクールがはじまっている」という喜矢武さんの言葉から、パルクールが日常の動作をもとにした身近なスポーツだということがわかりました。ダイナミックな技をこなすだけではなく、健康目的ではじめる女性も多いそう。身体が健康になるうえにカッコいい技が決められるようになれば、さらにモチベーションも上がりそうです。

「ちょっと気になる」という方は、パルクールで自分の身体と向き合い、生活習慣や食生活も一緒に見直してみてもいいかもしれません。五輪種目への採用を目指し、今後、さらに注目を集めそうなパルクール。日本での競技人口がまだまだ少ない今がはじめるチャンスですよ!

文/石本真樹
写真/岩田えり
編集/株式会社LIG

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