踊りはじめるのに「遅い」はない! 「踊れるおばあちゃん」BACK STREET SAMBERSに聞く、人生の楽しみ方

BTSのダンスナンバー「Permission to Dance」に乗って軽やかに踊る3人の女性。よく見てみると、素敵に年齢を重ねたおばあちゃんたち! Instagramに投稿された「踊ってみた」動画で注目を集めた「BACK STREET SAMBERS」は、Hiromiさん、Michiyoさん、Keikoさんからなるシニアダンスユニット。合計年齢203歳!とは思えない若々しい笑顔とキレのいいステップで、多くの人々を魅了しています。

そこで今回は、年齢にとらわれずに生き生きと人生を楽しむ「BACK STREET SAMBERS」のみなさんにインタビュー。ダンスをはじめたきっかけや、続ける上でのモチベーション、ダンスを始めてよかったことなど、3人のダンスライフに迫ります。これからダンスを始めたいと思っている方、生活改善のために身体を動かしたいと思っている方、必読です。先輩たちの言葉に勇気をもらえますよ!

■プロフィール

BACK STREET SAMBERS

茨城県土浦市にあるダンススタジオ「Studio Growing」に通う、65歳のHiromiさん、67歳のMichiyoさん、71歳のKeikoさんの3人によって2020年に結成されたダンスユニット。通称「三婆ズ」。
Instagram https://www.instagram.com/back_street_sambers_2022/
「Studio Growing」HP https://studio-growing.com/

(右)Keikoさん

娘さんがダンスを始めたことをきっかけに、58歳からスポーツジムのダンスクラスに通いはじめる。途中、家族の転勤などでブランクはあるものの、ダンス歴は約10年。ダンススタジオで本格的に習い始めたのはここ4年。好きなダンスのジャンルはHIPHOP。

(中)Hiromiさん

選曲、振付を担当するリーダー。娘さんの影響で40歳からダンスをはじめ、今やダンス歴25年。ダンサーとして大会やテレビなどのメディアにも出演。好きなダンスのジャンルはハウスダンス。好きなアーティストは、ブルーノマーズとソ・イングク。
Instagram https://www.instagram.com/hiromi_tachiflower/

(左)Michiyoさん

お孫さんがダンス教室で踊る姿を見て「踊ってみたい」と思いダンスを始める。ダンス歴は4年。ひっそりとお孫さんと同じ教室に通い、発表会でサプライズして周囲を驚かせたのだとか。特技は手話で、好きなダンスのジャンルはロック。

踊ってみたら、いいことしかない!

——まずはみなさんがダンスを始めたきっかけを教えてください。

Hiromi:娘がダンススクールで踊っている姿を見ているうちに、私も踊りたくなったのがきっかけです。レッスンが終わったあと先生に「私も踊っていいですか?」と聞きました。昔からディスコに通っていたので、踊ることにはまったく違和感はなかったんです。子どもの頃は、土曜日の午後に放送していた『ビートポップス』というテレビ番組が大好きで、音楽に合わせて友だちとゴーゴーダンスやモンキーダンスを一緒に踊っていましたから(笑)。踊っている時間がすごく楽しかったんですよね。

Michiyo:私は仕事を辞めてから、孫のダンスの発表会を見て、「孫と一緒に踊れたら楽しそうだな」と思ったんです。始めるまで2年くらい悩みましたが、人生、先が見えてきたときに、「楽しまなくちゃ!」と思ったんです。それまで目標も夢もなく仕事ばかりしてきたので、「今やらないともう来年はないな」と思ってようやく一歩踏み出しました。

Keiko:私も娘がきっかけなのですが、そもそも娘がダンスを始めたのは大学生になってからで、遅かったんです。だから、娘の活動を応援してはいましたが、自分でやろうとは思いませんでした。そのときにたまたま近所にあったジムに通うようになり、ダンスクラスがあったから「やってみようかな」と軽い気持ちで踊り始めたんです。

Hiromi:ダンスクラスに同じくらいの年の人っていた?

Keiko:そんなにいなかったかな。

Hiromi:私が始めたのは25年間前で相当昔だから、誰もいなかった。でも、みんな珍しがって仲間に入れてくれるんですよ。

選曲・振付・構成を主に担当するのはダンス歴25年のHiromiさん

——現在は隔週1回のレッスンと、それぞれに週1日〜3日は振付を覚えたり、練習したりとダンスを踊る生活だそうですが、続けられているモチベーションはどんなところにあるのですか?

Michiyo:生活にハリができた感じがして、ダンスそのものが楽しいから続けられているのかなと思います。

Hiromi:私は40歳から始めたのですが、そのときどきによって優先順位があって、40代はまずは子育てが一番で、最後のお楽しみな部分がダンス。週に1回、楽しみに行く目的で続けていました。50代になって子どもの手が離れたかと思ったら、今度は介護です。祖母と私の両親、夫の両親と全部で5人の介護をしていた時期もありました。毎週、毎週、どこかに行ってお世話をしていて、4人が一度に入院してしまったことも……。とにかく忙しかったこのときの唯一の楽しみもダンスです。ダンスが唯一の息抜きできる場所で、ダンスがあるから頑張ろうと思っていました。

——子育てや介護をしているときは自分の時間がほとんどないですよね。Hiromiさんご自身が心から楽しめるのが、踊っているときだったんですね。

Hiromi:ダンスがあったから乗り越えられたことも多いです。

Keiko:私は音楽にあわせて身体を動かす爽快感にハマりました。本格的にダンスを習い始めたのは最近で、今はヒップホップを中心に練習していますが、これまでフラをやったりサルサをやったり、いろいろなジャンルに挑戦できたことも楽しかったです。生活リズムの中にダンスを取り入れることで毎日がとても充実しました。身体を動かすとストレス発散にもなるし、いいことしかないです。

トレーニングは生活の中でできることを

「三婆ズ」のイラストがかわいいオリジナルTシャツも!

——Instagramなどの動画でカッコいいダンスを見せてくれていますが、どのような練習で上達していったのですか?

Keiko:私はスポーツクラブのダンスクラスから始めたので、本当に基本的なステップから地味にコツコツと教えてもらいました。

Michiyo:私は孫と一緒に踊って、「ここはこういう風にしたほうがいいよ」とかアドバイスをもらっています。でも、自分ではまだまだ上達しているとは思っていないんですけど。

Hiromi:いい感じになってきていますよ!

Michiyo:それなら嬉しいです。

Hiromi:私は親の介護が一段落した頃から、週1回のレッスンだけではなく、いろいろなコンペティションやイベントに出るようになりました。踊って見てもらう機会が多ければ多いほど、練習もするし勉強にもなるので、現場で身についたことがたくさんあります。60歳くらいの頃には海外のバトルにも行っていたし、毎週のようにイベントにも出ていたのですが、今はイベントの開催もなかなかむずかしいですし、海外にも行けないので地元にずっといます(笑)。

——ダンスの練習以外、日常的に何かトレーニングなどはされていますか? 

Keiko:筋トレまではしませんが、ジムには行ってコア(身体の中心の体幹部分)を鍛えるクラスなどを受講したり、エレベーターはなるべく使わないようにして階段を上ったり、とかですかね。

Hiromi:私はスポーツジムでトレーニングするのがとにかく苦手。「やらなくてはいけない」という責務がイヤで、自由にやりたいんです。だから、煮物をする20分間、魚を焼く10分間とか、ご飯を作っているときなどに時間が空いたらキッチンでスクワットしています(笑)。

Michiyo:私は車で買い物に行ったときには、店舗からなるべく遠い場所に車を停めて歩くようにしています。スーパーでの買い物も、カートを押さずに手でかごを持つ。うちは2階に洗濯もの干し場があるのですが、洗濯物を少しずつ持って行って何往復もするなど、生活の中に運動を取り入れて、できることをやるようにしています。

いくつになっても新しいことに出合える!

動画の撮影にもよく使う土手にて撮影。ポーズが決まってます

——みなさんがこちらの「Studio Growing」でレッスンを受けるようになったきっかけを教えてください。

Hiromi:4年前から別のスタジオで一緒にレッスンを受けていたKeikoさんを、2020年の11月に「Studio Growing」がオープンするときに誘ったんです。オープンする前から公民館を借りて練習会をしていたのですが、そのときにMichiyoさんが来てくれて。「Studio Growing」では、私たちがレッスンを受けているICHI先生の新しいクラスが始まる予定になっていたので、「どう?」とMichiyoさんも誘いました。

——「BACK STREET SAMBERS」として活動していこうと思った経緯も教えてください。

Hiromi:スタジオオープン時からずっとICHI先生のクラスに通い続けていたのですが、1人減り、2人減りとだんだんと人が少なくなっていって、最終的に3人だけになっちゃったんです。だったら3人で何かやろうと思い、「Instagramに踊っているところをアップするのはどうかな」と私が提案したのがきっかけです。でも、その前から「何かやりたいね」とはずっと言っていたんです。

——Instagramへの投稿はものすごい反響でしたね。

Hiromi:もうびっくり。たくさん褒めていただいて、「踊りたい」と思っている人はとても多いんだなと思いました。私たちが「クラブに踊りに行く」と書くと、「行ったことないけど行ってみたい」とかみなさんが興味を持ってくださって。本当にびっくりです。

ものすごい反響に驚いたBTS「Permission to Dance」の踊ってみた動画

——ダンスを始めるきっかけとなった娘さんやお孫さんの反応はいかがですか?

Hiromi:娘も応援してくれています。娘のほうがすでにダンスをやめてしまいましたけど(笑)。

Keiko:うちも同じで、応援してくれていますがダンスはやめてしまいました。最初の頃は一緒のクラスで踊っていたんですけどね。

Michiyo:孫からは「僕も有名になりたいな」と言われました(笑)。

——みなさんに影響されて、同世代の方でもダンスを始める人が増えそうです。

Hiromi:「スタジオを今、探してます」という方々が、千葉や埼玉、この間は横浜と、いろいろなところから茨城のスタジオに来てくれるんです。

私たちの年代だと、今からダンスなんて…と「始めちゃいけない」と思う方も多いと思います。だけど私たちが前に出ていくことによって、「いくつでも始めてもいいんだ」と思ってもらえたのかなと。

——ダンスを始めて一番良かったと思うことはどんなことですか?

Hiromi:日本はもちろん、海外にもたくさん友達ができました。海外から友達が来たときは日本を案内してあげるので、これまで何度浅草に行ったことか…(笑)。何かああるとすぐに連絡をくれる、温かい友達ができたことが一番良かったことですね。

Michiyo:ダンスを始めて、さらにSAMBERSで活動するようになって、日常生活では絶対に経験できない本当にいろいろなことを体験させていただいています。毎日がとても楽しいです。

Keiko:私も同じで、毎日が充実していてハリのある生活を送っています。この歳になって新しいことと出合えるんだなと。本当にもう信じられないくらい、いろいろな経験ができました。

スッと立った姿と笑顔が素敵なKeikoさん

無理せず、マイペースで続けていきたい

——今後はどのようにダンスとつきあっていきたいと思いますか?

Hiromi:今まで通りです。インスタの投稿をしながら、依頼があればショーをやったり、イベントに出たり。あまり忙しすぎると大変なので、マイペースで活動していけたらいいなかなと思っています。

Michiyo:私も同じです。

Keiko:私も、マイペースで。

Hiromi:みんなには「無理しなくていいよ」っていつも言っているんです。好きなことだけやればいいかなと。

——無理せず、長く続けていただきたいです。やっぱり3人で、チームで踊る楽しさはありますか?

Hiromi:あります。私が曲を決めて振り付けして、構成も考えているのですが、家で考えて、いざ3人で踊ってみると、「ああ、こんなにいいんだ!」と思うことが多いんです。音楽を聞いていても、「3人で揃ったらかっこいいだろうな」とつい思ってしまうので、これからも3人でのんびり続けていきたいです。

Keiko:もう私たちはすべてHiromiさんにおまかせです。

Michiyo:今、流行りの言葉で言うと、リスペクトしています(笑)。

踊りだすと息がピッタリ!さすがです!

——これからダンスを始めたいと思っている方にメッセージをお願いします。

Hiromi:「私なんてリズム感がないからダンスできないわ」みたいなことを言う人は結構多いんですよね。でも、踊ってみたらリズム感とかそういうことでもないので、とにかく飛び込んで、やってみないとわからないと思います。年齢を気にせず、何でもチャレンジして欲しいです。「やってみたらすごく楽しかった!」と思うかもしれないじゃないですか。「あのときやっとけば良かった」と、あとから後悔してほしくないので、やれるときにやっといたほうがいいと思いますよ!

Michiyo:やりたいと思ったときが「旬」というか、自分の一番いいときだと思うので、まず一歩踏み出してみてください。ダンススタジオに通うのはハードルが高いのであれば、自治体がやっている講座とかにダンス講座がたまにあるので、そこから始めてもいいと思います。とりあえずやってみて、できなかったらやめればいいわけですから。できるかできないかわからないなら、まずはやってみないと。隠れた才能があるかもしれませんよ!

Keiko:私もお二人と同じです。やりたいと思ったらそのときがチャンスです。まずは始めてみたらいいと思いますよ!

——最後に、みなさんにとってダンスとは?

Hiromi:人生! ダンスを中心に私の人生は動いているかもしれません。

Michiyo:毎日のハリです。踊っていると生きている実感が湧きます。

Keiko:生活の一部です。最初はそんなにダンス中心ではなかったのですが、気がついたらダンスを中心に私の人生が回りはじめたかもしれません(笑)。

まずは一歩踏み出して!新しい世界が広がるかも

ダンスと向き合う姿勢に元気をもらえました!

Hiromiさんは40歳、Keikoさんは58歳、Michiyoさんは63歳で一歩踏み出し、人生の中心となる「ダンス」に出合いました。さらに、喜びを共感しあえる仲間とともに、毎日を生き生きとすごしています。今回お話を聞いて、いくつになっても遅いということはなく、やりたいと思ったらやってみたほうが人生を何倍も楽しめるということを実感しました。ダンスを始めてみたいと悩んでいる方、何か新しいことにチャレンジしたいけれど戸惑っている方は、まずは飛び込んでみてください。新しい世界が広がるかもしれませんよ。

文/石本真樹
写真/森﨑一寿美
編集/株式会社LIG

ふわっと。編集部のおすすめ記事