人生に無駄なことはない! アスリート芸人・おばたのお兄さんに聞く、スポーツと楽しく向き合うコツ

俳優・小栗旬さんのものまねでブレイクし、最近では「ジブリ実写ものまね」や「ちびまる子ちゃんものまね」などのSNSに投稿した動画が人気を集めているお笑い芸人・おばたのお兄さん。テレビドラマやミュージカルなどの舞台作品で俳優としての一面も見せています。

日本体育大学卒業という身体能力の高さを生かし、アスリート芸人としても活躍中。バク転、バク宙のキレの良さは「さすが」のひと言です。幼少期から水泳を始め、それ以降、何かしらのスポーツを続けててきたことで、フィジカルとともにメンタルも鍛えられたのだとか。

今回は、中高保健体育教諭免許やメンタルトレーニングスペシャリストなど、運動に関するさまざまな資格を持つおばたのお兄さんに、長くスポーツを続けてこられた理由や、楽しく向き合うためのコツを伺いました。

▼プロフィール

おばたのお兄さん

ピン芸人。日本体育大学卒でよしもとアスリート芸人。2016年におばたのお兄さんとして活動を開始。小栗旬が『花より男子』で演じた花沢類のセリフのものまね「まーきの!」で注目を集める。ドラマやミュージカルなど俳優としても活躍中で、舞台『千と千尋の神隠し』では青蛙役を演じた。ジブリ好きとして有名で、ジブリ実写の動画が話題に。出身地の新潟県魚沼市をPRする「魚沼特使」でもある。中高保健体育教諭免許、キッズコーディネーショントレーナー(NESTA)、メンタルトレーニングスペシャリスト、スポーツフードスペシャリスト、スキー検定1級など多くの資格を持つ。著書に『おばたのお兄さんといっしょ 親子で楽しむポジティブエクササイズ』(KADOKAWA)がある。

Twitter:@hinode_obt
Instagram:@bataninmari
YouTubeチャンネル:おばたのお兄さんといっしょ
ブログ:オフィシャルブログ「おばたのブログさん」

スポーツで得た成功体験は「楽しい記憶」として残っている

—— 小さいころからスポーツに親しまれてきたということですが、どのようなスポーツをやられたのでしょうか?

おばたのお兄さん(以下、おばた):最初は水泳です。3歳くらいだったかなと思います。水泳は母に勧められるままに始めましたが、自分の意思でやりたいと思ったのはスキーです。出身が新潟県魚沼市なので、地域的にもさかんでしたし。時系列で整理すると、水泳を始めてスキー、野球、剣道という感じですかね。

—— 4つ同時にやられていたこともあるのですか?

おばた:同時にやっていた時期もありました。大変そうに感じるかもしれませんが、僕は楽しかった記憶しかないです。元々身体を動かすことが好きでしたし。大会で勝つうれしさや親に褒めてもらえたことで成功体験を得られたので、「楽しい記憶」として残っているんだと思います。

—— お兄さんが2人いるそうですが、お兄さんたちからの影響も大きかったのでは?

おばた:大きかったですね。5つ上と4つ上の兄、2人とも野球をやっていました。僕は年が離れている上に身体の大きさも違うのに、いつも兄たちと同じようにやろうとしていたんです。

—— 元々身体能力は高いほうだったのでしょうか?

おばた:高いほうだったのか、4歳になる前に補助なしの自転車に乗れました。僕は6月生まれなのですが、春先の3歳10ヶ月ぐらいには乗れていたみたいです。乗れるといってもまだまだ小さかったので、母は怖くて目が離せなかったらしいですけど(笑)。

あとは小学校2年生のときにバク転ができるようになりました。母いわく、テレビでバク転をしている池谷(幸雄)選手を見た僕が、「あれをやりたい!」と言ったそうです。母は中学生のころに新体操をやっていて、バク転はできなかったのですが、「じゃあやってみるか!」と、いらなくなった布団の上でひたすら練習させてくれました。母がいないときは山の中で落ち葉をクッションにして、学校が終わってから日が暮れるまでずっと練習していたら、「どうやらあの山に天狗がでるらしい……」という天狗伝説が語られるようになって……。実は天狗は僕だったんです(笑)。

—— 伝説になるほどに熱中していたんですね(笑)。

おばた:母が褒め上手だったんです。あとは、兄の友達の前でピョンとバク転をやったら、「すげー!」と言ってもらえたのがうれしくて。教育の基本だと思うのですが、「すごい」と褒めてもらうたびに自己肯定感が高まり、「もっとやりたい!」と思うようになりました。

—— その後、野球を高校まで続けられて、大学でも軟式野球部に入る予定だったもののケガで野球を断念し、ラクロス部に入部されたそうですね。

おばた:野球は高校野球で一応やりきって、「大学野球もやろうかな」と思っていたときにケガをしてしまって。ただ、もう高校3年生の時点で自分の実力もわかっていましたし、日本一を目指すようなチームでレギュラーを取れるかと言われたらわからなかったので、これも一つの転機だとポジティブに捉えてラクロスを始めました。

団体でやる球技で、大学から始めても大丈夫なスポーツは何か?と考えて行き着いたのがラクロスだったんです。元々負けず嫌いで、大学まで何かしらのスポーツをやっていて、人より劣ることがあまりない人生だったので、ほとんどの人が大学から始めるラクロスだったら差がつかないかなと。

—— 中高保健体育教諭免許も取得されていますが、体育の先生になりたいと思って大学に進学されたのですか? 

おばた:兄貴が日体大卒で教員をやっていたので、僕も教員免許は取っておこうと思ったんです。当時は、高校か中学の体育教師になって野球部の監督をするか、消防士になろうかな……くらいの感覚で、明確に「これが夢だ!」とは決まっていませんでした。

教育実習は母校に行ったのですが、いまだに当時の生徒とつながっているんです。街を歩いていたら「先生」と呼ばれて、「お兄さん」とは呼ばれるけど、「先生」とはあまり呼ばれたことがなかったので自分のことではないと立ち去ろうとしたら、教育実習のときに教えた子で。「東京で働いているんです」と働いているお店を教えてもらったので行ってきましたよ。あとは、地元新潟の番組のロケで当時の教え子たちと対決したこともあります。

—— 楽しい先生だったんでしょうね。教員免許のほかにも、キッズコーディネーショントレーニング(NESTA)、メンタルトレーニングスペシャリスト、スポーツフードスペシャリストなどたくさんの資格を取られています。

おばた:アスリート芸人としてテレビ番組のスポーツ企画にも呼んでいただくことが多いのですが、そのときに「日体大出身」という肩書が必ず出るんですよ。話したことはないけど、同級生が内村航平さんだということも(笑)。そろそろそれ以外にも何か説得力が欲しいなと思ったんです。最近はイベントなどで教える立場になることもあるので、バク転もできる上に資格も持っていたら、もっと「すごい!」と思ってもらえるかなと(笑)。

でも、何かしらの資格を取りたいと思いつつも、売れない期間は資格にかけるお金がなくて、仕事が軌道に乗ったら時間がなくて。そんなことを言い訳にして、まったく勉強していなかったんです。コロナで緊急事態宣言が出たときに仕事がゼロになって、「仕事を言い訳にやっていなかったこと紙に書き出してみよう」と思って書き出した中に「資格を取る」があって。いつまで休みが続くかはわかりませんでしたが、空いた時間で資格の勉強をしました。だから資格を取ったのは最近なんですよ。

スポーツのおかげで心も強くなった

—— これまでの人生、常に何かしらスポーツをやられていたということですが、今の自分に役立っているなと思うことはありますか?

おばた:僕は、「自分が経験していないことはアドバイスしない」「憶測でものを言わない」と決めているんです。単純に説得力がないじゃないですか。だから水泳やスキー、野球、剣道に関してはアドバイスができますし、やってきたスポーツに共通する動きもたくさんあるので、経験してきたことに関するアドバイスができることは、今の自分にすごく役に立っていると思います。

芸人としてお仕事をする上でも、「無駄なことはなかったな」と思うんです。水泳、スキー、野球、剣道のすべてでテレビに出させてもらいましたから。うちの母親も白米を食べながらしみじみ「無駄なことはなかったね」と言っていました(笑)。

—— ご出身の魚沼産コシヒカリを食べながら、ですかね(笑)。YouTubeなどを拝見していると、常にポジティブなイメージがあるのですが、スポーツはメンタル面にも良い影響を与えたのではないでしょうか?

おばた:うちの妻(フジテレビアナウンサーの山崎夕貴さん)が言うには、僕はものすごく楽観的でポジティブだそうです。自分で言うのは恥ずかしいですが、あまり売れていない時期に僕が、「自分が売れずに終わる世界線がまったく想像できない」と、当時つきあっていた妻に言ったらしいんです。「笑いの能力が長けているわけでも、自分のことをおもしろいとも思っていないけど、売れないまま終わることがまったく想像できない」と(笑)。そのときに「なんて心が強いんだこの人は!」と思ったらしく、「グッと心を持っていかれた」みたいなことを言っていました(笑)。

あとは、「環境のせいにしない」ともよく言われます。うまくいかないときに、自分じゃなくて環境が悪いと思う人も多いですよね。妻のまわりにはいわゆるエリートの方が多くて、うまくいかないことを環境のせいにする人が多かったらしいんです。僕にはそれが一切ないから「この人は強い」と思ってくれたみたいで。環境のせいにしないのは、スポーツをやっていたからかもしれません。結果が悪かったときは、「もっとこうすればよかった」と自分にフィードバックするしかない。環境のせいにしても仕方ないですから。

—— コロナ以前から開催していたフィットネスイベント「OBATAクリニック」や、最近では「運動神経アップできるお笑いライブ!?」など、観客参加型のライブを定期的に開催されています。どのようなことをやられているのですか?

おばた:「運動神経アップできるお笑いライブ!?」は、大人も子どももいっしょに参加してもらえるライブで、座ったままでできる脳トレみたいなことをしています。僕が『おばたのお兄さんといっしょ 親子で楽しむポジティブエクササイズ』という本を出したので、「ファミリー向けに何かやってくれない?」というところから始まりました。

—— ライブで行う運動プログラムはどのように考えているのでしょうか?

おばた:キッズコーディネーショントレーナーという資格の勉強をしていたときに教わったプログラムなどをアレンジしています。たとえば、手をパーとグーにして前後左右に入れ替えていく。反応を鍛えるトレーニングとか。単純なようで意外とむずかしい。運動は結局、反射以外は脳からの信号で行うものなので、まずは脳を鍛えないといけないんです。

おばたのお兄さんが教える、反応を鍛えるトレーニング

まずは手をパーにして前に出し、グーにした手を胸にあてる
「はい、はい」というかけ声とともに一定のリズムで左右を入れ替えながら繰り返す
「チェンジ」という合図とともに、前に出す手をグー、胸にあてる手をパーに変える
一定のペースで左右を入れ替え、「チェンジ」というかけ声を合図に、前の手はパー、胸にあてる手はグーに戻す。簡単そうに見えて意外とむずかしい

—— 観客参加型のライブはやりたいことのひとつだったのでしょうか?

おばた:人が好きなので、目の前で誰かが喜んでくれることがしたいと常に思っています。芸人になろうと思ったのも、人を楽しませたいから。小さいころ、僕の家で開催したクリスマス会でビンゴ大会をしたのですが、ビンゴの景品に自分の大切なものをどんどんあげてしまったんです。みんなが喜んでくれるのがうれしくて。でも、終わったあとに自分の好きなものがなくなってしまったことに気づいてショックでしたね。あげたのは自分なのですが……。母親にはめちゃくちゃ怒られました(笑)。人が喜んでくれるのがうれしくて、ついそういうことをしちゃうんです。

—— 人を笑顔にするそのお人柄は、芸人さんにぴったりですね。今後はどのような活動をしていきたいですか?

おばた:いつか子ども番組をやりたいです! 「おばたのお兄さん」ですから(笑)。最近はミュージカルなどで歌も勉強させてもらったので、ある程度歌えるようになったかなと。だから、歌のお兄さんと体操のお兄さんが融合したお兄さんとして、子ども番組の顔になれたら……。あとは、「◯◯カップ」という感じで人の名前がつく大会ってあるじゃないですか。どんなスポーツでもいいので「おばたのお兄さんカップ」を開催したいです!

達成できそうな目標を作り、楽しみながら取り組む

—— 運動が苦手な方におすすめのスポーツはありますか?

おばた:けん玉はどうですか? けん玉もスポーツなんです。集中力も上がりますし。たっぷり汗をかきたい方は、YouTubeにたくさんトレーニング動画やエクササイズ動画が上がっているので、見ながら身体を動かしてみてください。自宅であれば人の目も気にならないし、できないからといって笑われることもありませんから。フィットネス番組でごいっしょしていた、竹脇まりなさんの動画は、一人でできますし、声かけがめっちゃボジティブなのでおすすめです。あとは、僕の本を買っていただくと、QRコードからエクササイズ動画に飛べるので、ぜひそれを見てください! コントテイストでご紹介しているので、楽しみながらトレーニングできるのではないかなと思います。

『おばたのお兄さんといっしょ 親子で楽しむポジティブエクササイズ』
遊びながら運動の楽しさがわかる一冊。QRコードからトレーニング動画を見ることができます

アスリート芸人のトレーニングルーティン。動ける身体でSASUKEクリアへ

こちらはYouTubeチャンネル「おばたのお兄さんといっしょ」にアップされているトレーニングパロディ動画。身体能力のすごさがわかります!

—— 身体を動かしたいと思ったら、どんなことから始めればいいですか?

おばた:先ほどもお話したYouTubeで配信されている自宅エクササイズを、音楽に乗せてやってみるといいと思います。リズム感もアップするし気分も上がると思います。自分の好きな曲をかけながらその場で足踏みしてテレビ見るだけでもいいんです。1曲がだいたい4〜5分前後なので、1曲足踏みできるようになったら、次はおへその位置までひざを上げて行進するとか、少しずつ難易度を上げていく。4分やるだけでも結構しんどいです。あまり運動をし慣れていない方は、まずは足踏みからスタートしてみてください。

最初はその場で軽く足踏みするだけでOK。慣れてきたらおへその位置までひざを上げてみるなど、難易度を上げていく

—— 運動に苦手意識がある方に共通する部分はありますか?

おばた:できないことが恥ずかしいと思う方が多いかなと。運動も勉強も同じで、楽しいことが一番なので、目標設定を低くして、「何回できたら自分にご褒美」のような形で自分にご褒美をあげるとやる気も出ると思います。あとは、人と比較しないこと。競技として上を目指すのであれば、他人と比較することで芽生える意識は大事ですが、苦手な方は自分の中で達成できそうな目標を作って、楽しみながら取り組んでいただくことが大事かなと思います。

—— 毎日何か欠かさずやっていることはありますか?

おばた:忙しいとトレーニングまではできないのですが、ストレッチは欠かさずやっています。実は今日、このあとの仕事が急になくなったので、ここに来る前に400メートルを10本走って来ました(笑)。代々木公園に織田フィールドという陸上競技場があって、無料で使えるんです。400メートルをバーッと走って、3分半のインターバルをとって休憩3分半を10本走ってきましたよ、34歳が(笑)。

走ってきたと言うと、「努力してるよね」と言われることがあるのですが、僕からしたら「なんのこと?」というくらい普通のことなんです。体型の維持のためと言われればそうだし、仕事のためでもあるし。「明日撮影です」と言われたときに、すぐ対応できる恥ずかしくない身体にはしておきたい。「こうなりたい」という理想の自分は常にあります。目標があったほうがサボらないですし、志を高く持っていられる。ずっと身体を動かしてきたので、止まっていると焦燥感にかられるんです(笑)。日々、アップデートしたいと思ってしまうのは、ずっと運動してきたからかもしれません。

ただ、自分で自分を追い詰めないことも大事だと思います。自己評価を厳しくせずに、努力した自分はなるべく褒めてあげてください。自分の人生ですから、まずは自分のことを自分が認めてあげないと。結果だけでなく過程も大切です。

スポーツ&ポジティブ思考で心も身体も元気になろう

スポーツによって自己肯定感が高められ、大変な記憶も楽しかったことに自然と置き換えてしまう「ポジティブ思考」になったというおばたのお兄さん。スポーツを通じて経験したことに無駄はなく、お笑い芸人としてのキャリアに生かされているといいます。

スポーツで身体を動かすことはもちろん、「笑う」ことがストレス解消になり、健康寿命をのばす効果があるとも言われています。この記事を読んで、「運動してみようかな」と思った方はぜひ、おばたのお兄さんが教えてくれたように、「笑顔」で楽しみながら、無理のない範囲で身体を動かしてみてください。

文/石本真樹
写真/森﨑一寿美

ふわっと。編集部のおすすめ記事